
“転職”を考えたときに読むべき本
僕はこれまでのキャリアで7回の転職を経験してきました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
これまでの転職活動では、50社を超える転職サイトや転職エージェントを利用してきました。あわせて、キャリアや働き方に関する本も読みながら、自分の市場価値や転職の進め方を考えてきました。
今回は、僕が転職を考える上で必要な視点や要素を学べた10冊に、元リクナビNEXT編集長の黒田真行さんの推薦本を加えた、転職活動やキャリアに役立つ15冊をご紹介します。黒田さんには推薦の理由もコメントでいただきました。
この記事の推薦者
元リクナビNEXT編集長/ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役
黒田真行 プロフィール
『転職と副業のかけ算』著者/HIRED株式会社 代表取締役
moto(戸塚俊介) プロフィール
転職本は「今知りたいこと」に合わせて選ぶ
転職本は、年齢や悩みによって読むべき本が変わります。20代なら仕事選びの軸、30代なら市場価値や強み、40代・50代なら経験の棚卸しや条件の優先順位を見直せる本から読むのがおすすめです。面接や自己分析で詰まっている方は、ノウハウ本より先に「なぜ転職したいのか」を整理できる本を選んでください。
1:転職と副業のかけ算
僕が書いた一冊です。新卒で地方ホームセンターへ入社し、年収240万円だったところから、転職で本業の年収をどう上げ、そこに副業をどう掛け合わせてきたのかを実体験のまま書きました。おかげさまでAmazon総合ランキング1位、Amazonビジネス書ランキング1位を獲得し、ビジネス本大賞2020にもノミネートされました。
転職で年収をあげるには「業界」か「職種」のどちらかの軸を「年収の高い業界」または「年収の高い職種」にずらすのが近道なのです。
特に、業界は年収に大きく影響するので「業界」を変える軸ずらしがオススメです。
年収レンジの高い業界は、基本的に「動くお金が大きく、かつ利益率が高い」業界が該当します。例えば、商社やコンサル、金融、通信、広告などです。
各業界における平均年収は「業界別平均年収ランキング」などで検索すればすぐにわかります。もう少し踏み込むのであれば、これから伸びる業界や産業についても知っておくといいです。
本書の内容の一部は「【無料公開】著者が語る『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-』」で公開しています。
働く中でどのように思考して年収を上げたか?について具体的に書いています。「給与はもらうものではなく、稼ぐもの」という考え方に興味がある人におすすめです。
2冊目となる『WORK-価値ある人材こそ生き残る-(日経BP)』も2022年1月に発売しているので、合わせて読んでみてください。こちらも内容の一部を「【無料公開】WORK-価値ある人材こそ生き残る-」で公開しています。
黒田真行さんのコメント
本業と副業を、同時並行させ、複眼的に考えることで、自分の市場価値を深めていくという考え方をはじめて提唱した本です。単に「雇われる」だけではなく、「自分の付加価値を高める循環サイクル」を作るかが重要という視点が学べる一冊。
2:転職2.0
ヤフーの元執行役員で、世界最大級のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービス「リンクトイン」の日本代表を務めた村上さんの一冊です。
村上さんとはForbes『自分の市場価値を知れば、「主体性」は自ずと生まれる──村上臣 x moto』でも対談させていただいたことがあります。キャリアを会社任せにせず、自分の市場価値をどう高めるかを考えたい方に向いています。
「正しい転職の価値観」と「正しい転職の方法論」を知れば、これまでの経歴に関係なく誰もが〝我慢しない自由な働き方″を手にすることができるのだ。
転職を「条件を変える手段」だけでなく、キャリアを再設計する機会として捉え直したい人におすすめです。
3:シン・サラリーマン
サラリーマンYouTuberとして有名なサラタメさんの一冊です。僕もサラタメさんのYouTubeで転職について対談させていただきました。
書籍の中で『転職と副業のかけ算』もご紹介いただいています。サラタメさんの実体験を基に、本業、転職、副業、お金について等身大で書かれています。
600ページを超える分厚い一冊ですが、読みやすさもあって一気に読めます。転職だけでなく、副業やお金も含めて会社員のキャリアを考えたい方におすすめです。
4:科学的な適職
研究データをもとに、幸福度が高まる”適職”を見つける方法を紹介してくれる一冊です。
著者の鈴木さんとはbizSPA!「年収アップで転職するのは幸せ?」moto×鈴木祐が語る、キャリア選択の解で対談させていただいたこともあり、個人的にもかなりおすすめの本です。マイナビ転職の公式YouTubeチャンネルでも書籍についてお話されています。
現職にもやもやしている人、就職・転職を控えている人、仕事における幸福度を高めたい人に向いています。自己分析を感覚だけで進めたくない方にも合う本です。
5:転職の思考法
「転職の鉄板本」と言われる一冊です。
「いつでも転職できる状態の人を1人でも増やし、人材の流動性が高まれば、日本の社会が変わる」という著者のメッセージも込められており、働くすべての人の参考になる本だと思います。
会社が潰れても生きていける大人と、 生きていけない大人の2種類がいるとしたら、 両者をわけるのは何か? それは、上司を見て生きるか、マーケットを見て生きるかだ。
タイトルにもあるように「このまま今の会社にいてもいいのか?」と思ったら最初に手に取りたい一冊です。転職活動を始める前に、マーケットを見て働く感覚を持ちたい方におすすめです。
黒田真行さんのコメント
転職活動とは、静止画的な判断に似合わないものであり、流動的なマーケットにおける価値をどうセルフマネジメントするかが重要だという論を提唱している本。キャリアの壁にぶつかった時に、従来の固定化した考え方をゆるめるのに適した一冊。
6:LIFE SHIFT
人生70年なら、一生涯は61万3200時間だが、人生が100年なら、一生涯は87万6000時間となる。
人生100年時代では、大学を卒業してから80歳まで、少なくとも60年以上は働いていくことになります。
長期的に働くことが当たり前になっていく世界では「会社に自分のキャリアを守ってもらう」のでなく「自分で自分のキャリアを守っていくこと」が必要になってきます。
一社にだけ雇われ、退職金や年金だけで余生を過ごすというキャリア観から離れ、長い目で働き方を考えたい方におすすめです。
なお、続編の『LIFE SHIFT2―100年時代の行動戦略』が2021年10月に同じ東洋経済新報社から出ています。副題のとおり1冊目が示した「人生100年時代」という前提を実際の行動へ落とし込む側の本なので、本書が刺さったならそちらまで読んでおくと働き方の見取り図がつながります。
7:人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
「錯覚資産」というワードが響いた一冊です。林修さんの「初耳学」でも話題になった本です。
自分の得になるような“他人の勘違い”を「錯覚資産」と定義して、この錯覚資産を蓄えることが人生にどんな威力を発揮するかを指南してくれます。
転職においても「錯覚資産」は役立ちます。「元リクルート」というワードは最たる例だと思います。実績や肩書き、周囲から見られる印象をどう使うかを考えたい方におすすめです。ふろむださんのXも合わせてチェックしてみてください。
8:苦しかったときの話をしようか
著者はUSJをV字回復させたマーケターの森岡毅さんです。就活に悩む娘に向けて、子供の成功を願う父親として書かれた本です。
ビジネスの最前線を生きてきたビジネスパーソンとして、娘に将来の仕事を考える際に必要なフレームワークが本質的に記されています。
スキル(職能)こそが、相対的に最も維持可能な個人財産である。
働く上での本質が詰まった一冊なので、「個人の価値を上げるキャリア本」としておすすめです。やりたいことがわからない方や、転職活動で気持ちが折れそうな方にも刺さる内容です。
9:「いつでも転職できる」を武器にする
転職するつもりがなくても、自分自身のキャリアを振り返るために読んでおいて損のない一冊です。
僕は転職するつもりがなくても、必ず毎月末に職務経歴書を見直しています。今の仕事を振り返っておくことは、転職だけでなく、現職において「頑張る方向性」を把握する上でも役立ちます。
著者である松本さんは、PwCやアクセンチュアなど、大手外資系の企業の人事コンサルをしています。転職するしないに関わらず、自分の強みや働く軸を見直したい方におすすめです。
10:どこでも誰とでも働ける
著者の尾原さんは、大学院で人工知能の研究をした後、マッキンゼー・アンド・カンパニーやGoogle、楽天、リクルートなど、12の会社を渡り歩いてきた人です。
尾原さんとはダイヤモンドオンライン『成長する人だけが知っている「金脈」の見つけ方、転職の達人・motoさんに聞く』で対談もさせていただきました。
著者の尾原さんは今でも毎年転職活動をしているそうです。転職するかどうかにかかわらず、転職サイトや転職エージェントに登録し、「市場から見た自分の評価」を確認しているとのこと。
会社や場所に縛られず、自分の価値をどう作っていくかを考えたい方におすすめです。働き方の選択肢を広げたい人に向いています。
11:採用基準
マッキンゼーで長年採用を担当してきた伊賀泰代さんが、採用の最重要基準は地頭でも学歴でもなく「リーダーシップ」だと明かす一冊です。僕自身、採用する側に立ってはじめてこの本の凄さがわかりました。
リーダーシップは一部の特別な人だけが持つ才能ではなく、意識と行動で誰でも身につけられるスキルだと書かれています。この視点は、転職を考えるすべての人にとって大きなヒントになるはずです。
転職活動中の方はもちろん、今の職場でもっと活躍したい方にも響く本です。「自分に何が足りないのか」を静かに問い直すきっかけになります。
12:いつでも会社を辞められる自分になる
この記事に推薦本を寄せてくれた黒田真行さんの著書です。「辞めたいわけじゃないけど、辞められない」——その状態がいちばん危ないと僕は思っています。
「いつでも辞められる」という状態は逃げ道ではなく、自分のキャリアを主体的に選んでいる証拠です。その状態をどうつくるか、何を磨けばいいのかを、リクナビNEXT編集長として長年転職市場を見てきた黒田さんが現場の視点で丁寧に解説しています。
会社に依存しない働き方を目指したい方はもちろん、今の仕事にモヤモヤを感じている方にもおすすめです。
13:転職学
パーソル総合研究所と中原淳さんによる大規模調査をもとに、転職の成否を分けるファクターをデータで分析した一冊です。転職がうまくいく人とそうでない人には、はっきりと差があります。その差がどこにあるのかを、感覚ではなくデータで答えてくれます。
「なぜあの転職は成功したのか」「なぜ思っていたのと違ったのか」という疑問が、読み進めるうちに少しずつ解けていきます。転職の成否には再現性がある、というのが僕がこの本から受け取ったことです。
転職を感情や勢いで決めてしまう前に、一度手に取ってほしい本です。自分の転職を客観的に見つめ直す視点を持てるようになります。
元リクナビNEXT編集長・黒田真行さんが推薦する転職本
ここからは、元リクナビNEXT編集長で、ミドル年代向け転職支援サービス「Career Release 40」を運営する黒田真行さんの推薦本です。黒田さんは上で紹介した『転職と副業のかけ算』(1)と『転職の思考法』(5)も推薦してくれていて、それぞれのコメントは各項に載せています。ここではその2冊に加えて挙げてくれた2冊をご紹介します。
14:人を動かす
転職活動に限らず、職場の人間関係でも、うまくいく人はたいてい「人を動かす技術」を自然に身につけています。人は論理より感情で動く。相手に関心を持ち、話をよく聞き、承認する。シンプルなことのように見えて、日常では意外と実践できていないことばかりです。
出版から80年以上経った今も世界中で読まれているのは、それだけ人間の本質をついた一冊だからです。キャリアに迷ったとき、人間関係に悩んだときに、ふと手に取りたくなる本です。
黒田真行さんのコメント
転職とかキャリアとかを考える前に、働くことや、人と人との摩擦の接点の中に、成長や協働の可能性が詰まっていることを思い出すために最適な一冊だと思います。働くとは何か?を考えるきっかけになる情報が満載です。
15:最高の結果を出すKPIマネジメント
目標を数字で管理しているつもりなのに、なぜか結果が出ない。そんな経験のある方に向けた一冊です。KPIはただの数値目標ではなく、事業を成功に導くための「信号」だと本書は教えてくれます。
何を指標にするか、どう絞り込むか、どう運用するか。リクルートグループで11年間社内講師を務めた著者が、現場で磨いてきた実践知をわかりやすく解説しています。ビジネスを数字で動かしたい方、チームに共通の指針を持たせたい方に向いています。
黒田真行さんのコメント
いまや、どんな生き方、働き方を考える上でも、戦略的思考は不可欠であるし、戦略的思考を採り入れた瞬間に先行指標を考えないわけにはいかない。シンプルではあるものの、実際は運用が難しいKPIマネジメントをもう一度総ざらいするための一冊です。
転職本の選び方と活かし方
自己分析のために読むなら、どの本から手をつける?
感覚で棚卸しするより、判断の型を持っている本から入るのが早いです。仕事の何が自分の満足度を左右するのかを研究データで整理したいなら『科学的な適職』、やりたいことがどうしても言葉にならず止まっているなら強みの見つけ方から丁寧に書かれた『苦しかったときの話をしようか』が向いています。診断ツールを回す前に1冊読んでおくと、出てきた結果を自分の言葉で説明できるようになります。
転職本を読んだ後にやること
本を読んだら、印象に残った言葉で終わらせず、職務経歴書を1回更新してみてください。書ける実績が少ないなら現職で積む経験を決め、面接で話せる材料が弱いなら応募前に整理します。転職するか迷う段階でも、求人やエージェント面談で市場から見た評価を確かめると、自分に必要な本を選べます。
以上、転職におすすめの本15冊をご紹介しました。
いずれも転職するしないに関わらず、働く上で押さえておきたいことが多く書かれている本です。20代は仕事選びの軸、30代は市場価値、40代・50代は経験の棚卸しというように、今の悩みに近いテーマから読んでみてください。
また、転職の面接対策におすすめの本も合わせてご覧ください。転職に限らず働き方そのものを見直したい方は、会社員におすすめのビジネス書もどうぞ。
転職活動について情報収集されている方は、転職サイト記事もチェックしてみてください。
監修者の黒田真行について

黒田 真行(くろだ まさゆき)
元リクナビNEXT編集長/ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役
1988年リクルート入社。『B-ing』『とらばーゆ』『フロム・エー』関西版の編集長を歴任し、2006年から2013年までリクナビNEXT編集長を務める。その後、リクルートエージェントのネットマーケティング企画部長、リクルートメディカルキャリア取締役などを経て、2014年にルーセントドアーズ株式会社を設立。
転職・採用領域に長年携わり、現在もミドル世代を中心とした転職支援やキャリアに関する情報発信を行っている。
執筆者・監修者のmotoについて
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起業家・著述家(Wikipedia)。実名は戸塚俊介。広告・人材・IT業界など8社へ転職。副業でmoto株式会社を起業し、上場企業へM&A。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)代表取締役。著書:『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)









